この教材は令和4年度子どもゆめ基金(独立行政法人国立青少年教育振興機構)の助成金の交付を受けて、武蔵野大学古文書研究室が制作・開発したウェブ教材です。
各地で遺跡発掘調査の参加を募ると子どもたちから大勢申し込みがある昨今。
確かに遺跡発掘調査は子どもたちの興味をそそりますが、発掘と言えば遺跡だけではありません。
古文書も立派な発掘の対象です。
そして古文書は実は誰の家にも、誰の周囲にも存在しています。
本教材では身近な所から古文書めいた物を見つけること、古文書を<発掘>する体験から始めます。
「キミの家、おじいちゃん、おばあちゃんの家に字が書かれた古い物が見当たらないかい?」
「身近なところから字の書かれた古い物を探そう!」
という次第です。
古い手紙や葉書でもボロボロでも、難しい文字だらけで読めないものでも、何が書いてあるかわからないものでも、これが古文書なのかどうかわからなくてもいいのです。
見つけたら近くの図書館や郷土資料館や博物館を訪ねて活用し、
「地域の中にキミ自身を発見しに出かけてみよう!」
という体験活動を展開するための教材です。
本教材がもたらす体験活動は、身近な所に在る古い文書から地域の中に飛び出し、歴史や「昔」の痕跡の中に自分自身のルーツや歴史を発見するフィールドワーク・フィールドスタディ体験となります。
従来の郷土学習や地域歴史研究が、石碑をはじめ既に設定されているものから学んでいくのに対し、本教材は、
自分で見つけだすことから始める・・・
自分の家や親戚の中から見つけて広げていく・・・
資料と思ってないものを活用して世界を広げていく・・・
地域を越えた広域性をも有しています。
令和3年度子どもゆめ基金の助成をいただいて開発したウェブ教材『ボクたちワタシたちも楽しめるコモンジョ(古文書)の世界-日本のこと、地域のことを知って100年先も受け継ぐチカラをはぐくむ-』は、古文書にまつわる多種多様な体験活動を通して古文書への理解や興味を高め、日本や地域への理解深め、受け継ぐ感覚を育むものでした。
令和4年度制作・開発の本教材は、子どもたちが自分にまつわることを歴史の中から発見する興奮、自らテーマやヒントを見つけだし自ら調べ探す意欲・工夫、解決へ向かう手立てや見通しを立てる力、見つけた情報を整理して活用して組み立てる力を育む活動となります。
それは、30年先でも身近な古文書を見て活用できる人材を育むこと、日本の過去の歴史との断絶を防ぐこと、歴史離れ、日本離れに一石を投じる教材、体験活動となるものです。
武蔵野大学古文書研究室 代表
武蔵野大学文学部教授
漆原 徹
武蔵野大学古文書研究室
漆原 徹
小西和信
廣瀨裕之
遠藤祐介
寺野 遼
竹内隼人
長谷川あゆみ
この教材開発にご協力いただいた方々
神野 潔(東京理科大学理学部第一部教養学科教授)
花田卓司(帝塚山大学文学部准教授)
村石正行(長野県立歴史館専門主事兼学芸員)
井上幸治(京都市歴史資料館館員)
中村直人(関西学院大学文学部講師)
岡田謙一(白根記念渋谷区郷土博物館・文学館学芸員)
取材および写真・資料提供協力(順不同・敬称略)
近辻喜一(郷土史家)
京都市歴史資料館
長野県立歴史館
山口県文書館